テラリウム内のコケたち(仮根の観察)



3号がインフルエンザにかかり、まさかの40度超え。からの、感染性胃腸炎。
仕事で最盛期を迎えるBOSSと試験を間近に控えた2号に感染させるべからず
厳戒態勢(苦笑)週間でありました。
普段から自分があまりにも「除菌」や「殺菌」に疎すぎるので
これはご先祖さまからのお達しだったのではないかと天を仰ぎ見てしまった。
落ち着いたらお墓参りに行きますゆえ・・

今日も長めです。

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昨年の6月に作ったウマスギゴケのテラリウム。

茶色くなってしまったが、そのまま観察を続けていると
植え付けている赤玉土と茎の下部あたりにかけて、もわわ~と仮根が充満しはじめた。
ウマスギテラ1

カメラを近付けてみると、なんだろう
ウマスギゴケではなさそうな方がわらわらとお出ましになっているではないか。
ウマスギテラ1-2

じつは、テラリウムの蓋を開けずにどれくらい育て続けることができるのか
というのを試してみたくて、瓶が曇って中が見え辛くなろうがずっと我慢していたのだが

好奇心に負けました。

あっさり開けました(*ノωノ)

もわもわしている赤玉土をピンセットで摘み取って見てみると、
直径5㎜ほどの赤玉を包むように、仮根が覆い、小さなコケが育っているのがわかる。
ウマスギテラ3

テラリウムを作った時に入れた覚えはないのだけれど
ウマスギゴケのどこかにくっついてきたのだろう。
今や主のウマスギゴケに負けじと存在をアピール中なのである。
ウマスギテラ4

その正体に近づきたく顕微鏡で覗いてみると、茶色い仮根と
ウマスギテラ5

葉の細胞の上部に突起を確認。
小さいけれど、この様子を見る限りではサワゴケの仲間だろうか。
ウマスギテラ6

8か月の間に、瓶の中で少しずつ少しずつ・・
ひそかに仮根を伸ばし、新芽まで出していたそのたくましさにびっくり。うっとり!!







そしてもうひとつ、同じ時期に作ったオオスギゴケのテラリウム
オオスギテラ2015

同じく蓋を開けずに観察していたところ
茎の先端や根っこの部分からひょろひょろとした、新芽が出てきた!
なんてかわいらしい~
オオスギテラ16120



それが、今年に入って茎や新芽のまわりにもわもわーっと白いものが・・
オオスギテラ162203

オオスギテラ16220

何や何や?!と不思議に思いテラリウム園芸のプロのIさんに伺うと
「仮根です」と即答してくださった。
高湿度のテラリウム内では普通にこのように仮根が出てくるのだそうだ。

仮根!!

これまた蓋を開けました。負けました(/ω\)




ちなみにこちらは屋外で育っているオオスギゴケ

群生していることもあれば
オオスギゴケ1

まばらで頑張っていることもあり
オオスギゴケ2-3

シダやハイゴケにおされ気味になっていることもあり・・
オオスギゴケ3-1

仮根の様子も茎によってさまざまなようで
▽ほとんど仮根が確認できない茎や
オオスギゴケ2

▽下部にうっすら仮根をつける茎
オオスギゴケ2-2

▽群生の根元のしっとりした環境にはまるで大人に守られる子どものように伸びている新しい茎があり
オオスギゴケ4

▽その茎には中部まで仮根が生えている
オオスギゴケ5

▽枝分かれなのか新芽なのか?ほとんど仮根が目立たない
オオスギゴケ3

▽通気性のある大きなテラリウム内では新芽の根元にもわもわと。
オオスギゴケ7

ああ。
仮根ひとつとっても、コケの生育というのはなんて奥深いのだろう。
今更ながら、惚れ直した気分なのである。

なお、コケの仮根や栽培による形態変化などについては
以下の文献に専門的なことが記載されているので興味のある方にはご一読をお勧めしたい。
・北川尚史氏「長期無菌培養によって誘導された苔類4種の形態変化」
Acta phytotaxonomica et geobotanica35,1984
・秋山弘之氏「過湿栽培におけるミズゴケの出現」
蘚苔類研究8(9)2003
・秋山弘之氏「地中深くに伸びるボルネオ産ネジクチスギゴケ属のシュートについて」
蘚苔類研究9(12)2009

「お勧めしたい」
などとえらそうなことを言っておいて何なのだが(;・∀・)
こういったアカデミックな文献は、知識の乏しい自分などには
一度拝読したくらいでは、実のところちっとも心に落ちてくれない。
けれど、実際コケの成長や環境に触れ、頭の中を「?」マークいっぱいにして再読すると
少しは謎が解けたような気持になるのである。(あくまでも気持ち気持ち。)

コケの培養については、1979年すでに岩月善之助氏が「コケの栽培あれこれ」として
テラリウムについても紹介されている。日本蘚苔類学会会報2(7),2(8)
それによると、アメリカではすでにそのころテラリウム用のガラス容器が販売されていたようだ。
ウイスキーの瓶を横にして、ピンセットでコケを植え付けた洒落たテラリウムの写真も掲載されており
研究者の遊び心とお酒の好みなど、勝手に想像してしまいちょっとニヤリである( *´艸`)

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最近、インテリアとしてのテラリウムやコケ庭など、ひそかに人気があるようだが、それにかこつけて?
自然で役割を持って生育しているコケをたくさん採り、天然を売りに販売されていることもあるようで、
これは、コケ好きとしては悲しいことである。
一方、気難しいコケの栽培法をあみだし、時間をかけて販売用のコケを作られている業者さんも
いらっしゃるようなので、もしコケを購入されることがあれば販売元を選んでいただきたいと思う次第だ。

採集して育ててみたい方は、(これもあくまでも個人的な願いにすぎないのだが)
放置しておくと、除草作業などにより排除され、ゴミにされてしまうような場所に居合わせてしまったコケや、
樹皮が捨てられてしまうような伐採された木に着生しているコケ、
田んぼや畑など定期的に耕されてしまう場所のコケなどを選ばれてみてはどうだろうか。
また、テラリウムやコケ玉など、連れ帰ったコケが枯れたり見栄えが悪くなった場合は
燃えるゴミなどに出すよりは、土のある場所に戻してほしいと思う。
ほんの少しでも生きる力が残っているコケが、復活できる希望がゼロにならなくて済むからだ。

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さて、
コケの購入もどこが良いかわからないし、でも、テラリウムを招いてみたい!
という方は、ぜひともこちらのサイトを覗いていただきたい。

道草michikusa ホームページ → ★★★

すでにご存じの方がほとんどだと思われるが、コケテラリウムの専門家、Iさんが作られる
テラリウムはセンス抜群なのはもちろんのこと、コケの入手先や作成法にもこだわられており
自然にも植物栽培が苦手な方にもやさしい。
そんなテラリウムを販売されているのだ。
(ちょうど1年前に購入させていただいたテラリウムは、お陰様ですこぶる元気です!)

「テラリウムは蓋をしたままでも2年はもつ」というのを聞き、単純に試してみたくて
観察していたのだが、Iさんによると、雑菌などにやられなければ
2年どころか、もっと長く蓋をしたままもたせることも可能なのだそうだ。

手入れを忘れそうになる方も、これなら安心して育てられるのではないだろうか(*´ω`*)


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musimegane

アート目線のコケ観察。
いきもののカタチは美しい。

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